ミードラのピュア唇

※　ジャンプ読切マンガのネタバレです。

ジャンプ読み切りマンガで、C-キラの後ろでバナナを貪っていたミードラ。

彼女の唇、あれ随分くっきりしていたと思いませんか。


リュークにしろシドウにしろ、死神って人間界にホームステイしているようなところがありますから、デスノートの所有者の性格によって、人間界への馴染み方が随分違うみたいですよね。

キラであるとは言っても、ごく一般的な家庭環境の月のところにいたリュークは、暇な時には一緒にゲームをやったりして、割とお茶の間的というか、ドラえもんのような馴染み方をしていましたが。
メロのところにいたシドウは、メロの扱い通りにこきつかわれて、部下その一か番犬かといった様子で、主人が与えたチョコレートに素直に喜んでいましたし。


そうやって見ていくと、今回のデスノートの所有者は。

ネットを情報源として活動していたようですし、部屋中にフィギアがある事からも普通にインドアの趣味人のようでしたから、彼けっこう、情報に踊らされる若者なんじゃないかと思うんですよ。
デスノートを使う対象に老人を選んでいた事からも、他人との込み入った関わりは避けたい人なんでしょうし、お世辞にも面倒見が良さそうに見えない。

ミードラって、好奇心強くてマイペースそうですし。
死神界に戻った時にリュークに渡したのがリンゴ、自分の好物のバナナじゃなくて、リンゴを交渉材料に使っているところ。
もしかしたら自分用のバナナとは別に、しらばっくれてリンゴ出して来てるのかもな、ってのを見ても、ミードラ、意外にしたたかなんですよ。
あんなジャバ・ザ・ハットみたいにみえても、メスなんです。
ミードラのそういう、何も考えていなそうでいて存外しっかりしたところに、そこはかとない女性らしさを感じるんです。

だから、C-キラのところみたいな、あまり構ってもらえそうもない環境だと。
ミードラ退屈がって、どんどん好き勝手に、刹那の快楽を求めていそうなんですよね、C-キラの一大事知ったこっちゃなくバナナ貪り食ってる事からも、退屈は他の刺激で晴らそうとしてるように見えますし。
テレビ観たり、ネットやったり、趣味関係のものを勝手にいじったりして、いつの間にか偏った情報を仕入れていっていったとしても、突っ込み不在で放置されていたのは間違いないでしょうから。
ミードラもまた人間界に毒されて、情報過多に踊らされたんじゃないかという気がしています。

だから、あのミードラのピュア唇は。

死神だてらに色気づいた彼女が、見よう見まねで化粧してたから、あんなにくっきりしていたんじゃないでしょうか。
幼児が、お母さんの化粧道具をコッソリいたずらして、本人得意満面で物凄い顔になっている。
あの感じですね。
C-キラがフィギアやプラモの彩色するのを見ていて、ああすればいいんだと勘違いして、色味だけ見て選んだタミヤカラーのシャア専用色を、一生懸命、筆を使って塗ってあって、えっらい鮮やかなカラーリングなっているんじゃないかと思うんですよ。

死神界に、ジャスティンのような宝石で全身固めた死神や、ゼルオギーようなネイティブアメリカンの酋長みたいにかぶいた服装の死神、ダリル＝ギロオーザのようにアジア調の装飾過多な死神がいるのは。

そうやって、それぞれの時代や地域の、あらぬ角度からの偏った人間界の影響がじわじわ浸透していってるせいなんじゃないでしょうか。

積もり積もって死神界では。
人間界の裏焼きのような、独自のごった煮文化が生まれているのでしょう。

夜神月が新世界を目指した様に、リュークもまた退屈を理由に、死神界に新風を吹き込みました。

最終回後の、キラ事件後の死神界には、もしかしかしたら。
砂の世界から、果ては生へと通じる、変化が起こり始めているのかもしれません。