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DEATHNOTE 考察・二次創作とウィンチェスター旅行記
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ウィンチェスター大聖堂の立像




以前、マットの命日にネットに載せた事もある長文妄想の手直しなので、ご覧になった事がある方もいらっしゃるかと思いますが。





マットのゴーグル。



ありゃなんで部屋の中だろうが、射撃時だろうが、変わることなく四六時中しっぱなしなんでしょうね。



手袋だったら判るじゃないですか、潔癖だとか、指紋を残さない様にだとか、サイコメトラー封じとか、ま、理由はなんぼでも考えられますけど。



ゴーグルって。



色覚異常なんじゃないか、目の色が珍しいんじゃないか、そういう意見もありますが、そういう用途なら、サングラス程度で充分でしょう。

あのゴーグルじゃ随分ごついじゃないですか。

第一、メロにまで眼を隠すのは不自然でしょうし、自分一人しかいない部屋でもずっと着けてるのが判らない。



なので、あそこまでの常用っぷりは、そんなマイルドな理由からではないと思うんですよね。



という訳で、そこいら辺の設定について、あくまでも、私の中でこうだったらどうですよ、って思ってる部分で、勝手に、でっちあげを重ねて妄想してみたんですよ。



はい、ここから先、がっつり長文になりますから、そのつもりでお覚悟の上、お付き合いいただける様でしたら、ありがたいのですが。

+ + + + + + + + + +


自分の中では、あのゴーグルは、制御の為のギミックなんだろうと思うんですね。



13巻に出てくるパーソナルパラメーター、マットのって「観察」じゃないですか。

Lや二アの特技、複数モニター同時鑑賞プレイがある中で、わざわざ「観察」ってうたう程の観察力って、そりゃ一体、どんな人並み外れた隠れ設定があるのかと。

だからマットには、何か眼に関連した特殊能力の一つや二つ、あってもおかしくない筈なんですよ。



最初は、直感像能力者、マッチ箱が引っ繰り返った瞬間にマッチが何本こぼれたのかパッと言えたり、一度しか見た事の無い複雑な建造物を正確にスケッチして見せたりってアレですね。

そういう、写真記憶の持ち主なのかと思ったんですよ。



ハンニバルレクター博士シリーズのグレアム捜査官も、この能力で、犯行現場や証拠を元にして、犯人の思考をトレースする事が出来ます。

あと彼の場合は他人に同調してしまう能力、それこそ、同じレストランに居合わせただけの客が喧嘩してたら、双方の感情をまるまる拾ってしまって混乱しかけたり、そういう本人とって幸か不幸か紙一重の、イタコの様な感応能力の持ち主である為に。

(映画『レッドドラゴン』ではエドワード・ノートンが、話しをしている内に気持ち悪い程相手の口調と似ていったり、彼の特性を映像だてらに、よう表現してました。)

直感像との合わせ技で、誰にも真似出来ないレベルで、猟奇殺人犯を追えるって設定でしたし。



ただ、リンダに絵を描くって設定があるって事は、そういう、絵画的な視覚能力は彼女の担当なんだろうから、マットでそれを使うには、見せ方として弱くなるし。

だったら、それは無いのかなと。



じゃあ、それに代わる観察能力ってのはなんだろう、そう考えた時に。

マットの特性、ゲーム、コンピューターのエキスパート?ここでハタと膝を打ったんですが、これはむしろ、言語的な能力の方なんじゃないか、そう思ったんですね。

それも、パラメーターにあえて「観察」とうたわれてるからには、モニター見てても意味が無い、それじゃLや二アと同じなので、ここは対人に置いて威力のあるものがいいでしょう。



なのでマットの能力は、音声や、文字や、プログラミング言語等も含めて、いわゆる言語化のなされていない情報を、広義の言語として解する能力なんじゃないかと。



それは対人においては、読唇術をもっと進めた、読筋、マスル・リーディングが出来るってのはどうかと。

素人が観察出来るレベルでも、警戒してる時は脇を締めるとか、身体が語る情報量は多いし、細かく記号的に読み取る事は出来ると思うんですけど、マットの場合そんなもんじゃなくて、仕草や表情、体温の変化、発汗、血流、体表面の状態、そういったものを言語として解する事が出来るレベルで読み取って、相手の思考や、表に出て来ていない感情を、かなりの精度で正確に言語化する能力だとしたら。

ポリグラフなんてもんじゃない、まさに「観察」という名の特殊能力にうたってあっても不足はありません。



言語は思考の基、言語によって思考様式は決定されます。



それだけの情報を系統立てて言語化して認識することの出来る者にとっては、そも、思考の有り様それ自体が、そういった情報を言語として認識したことなぞない他の人とはまるで違ったものになるでしょうから、プログラミング言語なんて、実に自在に玩べるでしょうね。



しかも、それが、直感的に出来てしまったとしたら。



オリバーサックスの『火星の人類学者』の中で、生まれつき目が見えなかったけれど、成長した後で手術により、視力を得た人のドキュメンタリーが出て来るんですが。

その人は一旦は見えるようになった筈の視力が、医学的には何の異常も無いというのに、再び失われてしまうんです。

その人にとっては、生まれた時から、触覚や音の反響で、世界を認識して来ているので、目が見える様になっても、視覚情報を、それまでの自分の認識してきた世界の感じ方とすり合わせて、再構築する事が出来なかったようで、どれだけ検査をしてみても明らかに視力はある筈なのに、精神的に、見えていないという状態になっていったそうなんです。



ことほど左様に、成長してしまった後で、それまでの認識を変えるのは、容易な事ではないと聞きます。



マットのマスル・リーディングが、もし生まれつきであったなら、あるいは、彼はまだ若く、ごく幼い頃にその能力を獲得していたと考えた方が自然でしょうから、ずっとそうやって世界を見て育って来たとして。

意識していなくても、リーディングを続けてしまうという状態で過ごしてきていたら。



小さい頃には、きっとそうやって世界を見ているのは、自分だけだと判っていないでしょうから、ハウスに九官鳥がやってきて「オハヨウ」と喋ったのを聞いて。

他の子供達は普通に喜んでるんだけれど。

本 当は九官鳥は人間の言葉で「オハヨウ」と挨拶しながら、「さぁこれでまたミミズが食べられるぞ」って思ってる事を、マット一人だけが本人無自覚のままで読 んでしまって、喋ってる言葉と思ってる事とのあまりの相違でまず大ショックを受けて、そこに重ねて、それを自分に置き換えて想像してしまったもんで すから、「自分の身体ほどの大きなミミズがあたえられる、しかもそれを自分が食べる事になってる」って九官鳥の思考がリアルに我が身に起る出来事として迫ってきてしまって、マット一人大パニックになってるんですけど。

何でマットがそんなに大騒ぎしているのかは、誰も判らない。

そんなエピソードがあったのかも知れません。



死神の眼を持ったミサが、何十何百という人の、名前と寿命を毎日見続けているので、Lの名前を覚えてはいなかったという下りがありますが、この場合のマットが見るのは、それどころの騒ぎじゃない。

とてもじゃないけど、いくらワイミーズのナンバー3でも、リアルタイムで他の事をしながら捌き切れる様な情報量ではないと思うんですよね。



リミッターが、無ければ。



そ ういう眼を持った人が、人ゴミに行ったら、情報が溢れ返ってパンクせんばかりになってしまうので、外出が嫌いになる事でしょうし、そこまで読めてしまう人が、初対面の人や慣れない相手と接する事は必ずしも彼にとっては心地よい事ではないでしょうから、社交的な性格には、なりにくいかもしれません。



目の前の人の思ってる事、気持ちが、読める。

これって、その気になりさえすれば、相手が望んでいる事を、その通りに、自在に返す事だって可能な訳ですから、人に愛される人間になるのは容易な事かもしれません。

アイコンタクトなんてもんじゃないレベルで、完璧に相手の要望を叶える事だって、彼には出来ます。



ただ、本人的には。

口で何を言われても、その言葉の裏が判ってしまう。

自分の下で身をくねらせて、善がり声を上げている相手が、何を感じ、何を思っているのかも、彼には判ってしまう。

相手の言葉、表情、仕草、態度、身体が感じる感覚と、その裏とに横たわる違和を、常に感じていなければならない。



これ、すごく重い十字架ですよね。



例え相手に悪気が無かったとしても、マットを思って気遣いから発した嘘だったとしても、嘘は嘘だと判ってしまう、それが彼の見ている世界です。

それが先に見えてしまったら、なまじよく見える眼を持ってしまっていたが為に、その嘘を付くに至った相手の気持ち、言葉の裏に託されたもの、そういうものに至る事が出来なくなってしまう、そういう事だってあるかも知れません。



思春期の男女が、それぞれ男性神話、女性神話を抱いて成長して来て、いざ、実際の異性のありように触れた時に、その神話が崩れて、現実の異性によって獲得した、新たな男性像、女性像を再構築するプロセスがあります。

神話が崩壊した時には、異性の事が獣のように感じられたり、モンスターや、エイリアンのように、別種の生物のようだと誤解する事もあるでしょう、ただそれは一時的なもので、結局は、性が違うだけの自分と同種の生物なんだという事を、時間を掛けて、許容していきます。

その時に、何らかの要因があって、許容に至れなかったとしたら。



同じ人間であると思えないような扱いを受けてしまった。あるいは、それまでの認識をくつがえす必要など何も無いまま、赤子の手をひねるように自在にコミュニケート出来てしまった、どんな要因だったかは何でもいいんですが、とにかく、そういう人にとって異性とは、もっと言ったら他人とは、いつまで経っても、神話の中の生物であるか、またはモンスターのままであるかも知れないと思うんです。



だからこそ、彼は、自分の能力の制御の為にゴーグルを常に着けているようになったんじゃないかと思うんですよ。



ハウスに居た頃は接する人も限られていますし、リミッターを掛けるのにも眼鏡程度で充分だったとしても、外の世界に出たら。

彼のことを何も知らない他人の意識の奔流、それまでには浴びせられた事もない無遠慮な興味と無関心、様々な形の悪意、狂気、そういったものを感じ続けなければ生活出来なくなったとしたら。



意図的に外そうとしなければ外れそうにもないあのゴーグルを。

最期の時まで、壊れこそすれ外れる事はなかったあのゴーグルを、片時も手放す事が出来なくなっていても、おかしくはありません。



そうやって生きてきた人が。



もし、共に行動し、一緒にいる事が出来る相手を得られたなら。

他人を信頼し、心を許す事が出来るようになったとしたなら。

その相手とは一体どんな人で、そしてそこに辿り着けるまでには、彼らの間に、どんなドラマがあったんでしょうね。



それは彼にとって、どれほどの福音なのでしょうね。



それこそ、その相手の為なら、我が身に代えても。

他人に対して、彼は初めてそう思う事すら出来たのかも知れません。



だって、彼は、相手のことを見さえすれば、相手が何を思うのか、何をしようとしてるのか、何を、誰を、求めてそうするのか、判ってしまうんですから。

全てを承知して、相手に着いて行く事を選んだのですから。



そうやって、生まれついての十字架を乗り越えて、自分の眼を、いざ観察のツールとしようとした時に。



他のワイミーズ出身者の様な推理で証拠を固める習慣は、そうやって途中式を埋めていく必要なんか無かった彼には、おそらく根付かないでしょうから、盲点を突かれてしまった時の詰めは、勢い、甘くなる事でしょう。

肌の露出の減る冬場、モニター越しでは精度も落ちます。

基本の思考言語や文化の違う、日本人は読み難いでしょうから、咄嗟の時に、そこを読み間違ってしまったばっかりに……。



何があるのかも判らない街へ出る、群集を相手にする、それが判っているからには、冷静さを揺るがす訳にいかず、ゴーグルを外す訳にはいかなかった事でしょう。



その為に彼は……。
彼らは……。





彼が最期に見たのは。





彼が最期に、見たかったのは。





はたして、どんな風景だったのでしょうね。





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※こちらは、携帯閲覧用のblogですので、PCからご覧の方は、お手数ですが下のバナーよりご入室下さいませ。



ウィンチェスターの写真や動画、イラストやペーパークラフトなど、テキスト以外のコンテンツは、全てサイトの方で公開しております。








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この設定を元にして、マット主人公の長編小説を書いてくれた方が現れました。





North Snow Garden:ノースメンさん


North Snow Garden:ノースメンさん


※ 携帯にも対応されています



※ 2008年6月22日開催のデスノートオンリーイベントCanDに参加されます。

(イベント領布限定、通販の予定はないそうです。)


原作ベースでありながら、原作では語られる事の無かった彼の人生を、マット一人だけではなく、ワイミーズハウスに関わる全てのキャラクターの生き様を描き切った力作で、ネタを考えた者である事を越えて、一読者として、非常に面白く読ませていただきました。



マットを好きな、全ての方にお勧めしたい。

二次創作を越えて、読み物として普通に面白く、読み応えがある作品です。





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設定、ネタ等の扱いについて。



他の方はどうか判りませんが、とりあえず私の書いた文章の、文章そのものではなく、設定やネタ等に関しては、基本的にはいかように使っていただいても構わないと思っております。

(一応、事前に管理人宛てにメールでご連絡をいただけると有難いです)





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※この記事は、サミュエル・R. ディレイニー『バベル-17』を参考にしています。


サミュエル・R・ディレイニーに関するウィキペディアの表記。


『バベル-17』を取り扱っているネット書店


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ちなみに本文は、2007年1月26日、マットの命日に合わせて、当日一気に書いたものなのでデッドエンドで〆ており、内容もそういう雰囲気になっています。

本文だけ読むと、ここでのフィクションの中のマットの設定についても、あたかも能力までもがネガティブなものであるかのように読める書き方をしてしまっておりますが、やまうみうし個人としては、単なる体質であり個性として捉えております。

(そこまで記事中で語ると話が長くなるので、命日中にオチまで辿り着けなかったという、手抜きな理由で割愛しています)



解釈は、読んで下さった方にお任せします。



ただ、それは読んで下さった方お一人お一人の中にあるもので、書いた本人の頭の中とは、それぞれ別物であって。(だからこそ面白いとも思いますし、語り合うのは楽しいです。)

この記事は一読者による趣味の妄想、娯楽でやっている二次創作にすぎず、実在する様々な事柄や、ましてや読んで下さった方のリアルとは、もちろん無関係だと、一応、念押しさせて下さい。



実際の、何らかの特徴や状態等については、あまり存じておらず、よく判らないのです。

特に差別視や、逆に特別視もしておりませんが。

詳しい事をまるで知りもしない立場ですし、そういった事情には素人が生半可に立ち入るべきではないと思っておりますので、あえて触れるつもりはありません。



念の為、ご了承お願いします。









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妄想スピンオフスパイラル
この設定を元ネタにして、マット主人公の長編小説を書いてくれた方が現れました。
この人との付き合いは、もう十年以上になりますが、これだけ読み応えがある、二次創作を越えて、読み物として普通に面白い小説が書ける人だとは知りませんでした。
マットを好きな全ての方にお勧めの感動作です。

その方のサイトにはリンクから行けますので、是非どうぞ。
やまうみうし URL 2007/05/26(Sat) 編集
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サイト名:狒々主義(ヒヒイズム)
管理人:やまうみうし

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